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2020東京五輪トライアスロン日本代表選考途中レポート①【2019年8月22日時点】

2020東京五輪トライアスロン日本代表選考途中レポート①【2019年8月22日時点】



これは東京五輪トライアスロン日本代表選考における選考途中経過レポートです。選考基準に照らし合わせ、上記の日付までの選考対象大会を終えた時点での選考の優先順位はどうなるかを示したものです。
あくまで私個人が集計したもので公式なものではありませんので参考としてご覧ください。

「東京五輪トライアスロン日本代表選手選考基準」はコチラからご覧になれます

また2)選考方法と評価第6優先候補に記載されている、明確な順位の設定ではないリレー大会の出場選手に対する評価リレー評価項目は省いております。
①第1優先候補から⑤第5優先候補と、第6優先候補個人種目の順位に該当する項目のみを反映させています。


【女子】
現在女子では「リレー評価項目」を除いた場合、個人種目の順位の選考評価基準に該当する結果を残しているのは下記の選手となる。

①高橋 侑子(富士通)
 2)選考方法と評価第5優先候補に記載の、
 b)の「2019年7月:ハンブルクWTS(ドイツ)において16位以内/15位でフィニッシュしている。

女子総評
現在「個人種目の順位」のみで評価した場合、女子では高橋侑子のみがリストにあがることになる。
第6優先候補に含まれる「リレー評価項目」での評価を含めた場合、そこにはリレーの対象大会に出場経験のあるその他多くの選手を含めることになるが、もちろんそれより上位優先候補である第5優先候補以上をクリアしているのは高橋のみなので、現時点で確実な代表選考の最上位評価を得ていると言っていい。



【男子】
現在男子では「リレー評価項目」を除いた場合、個人種目の順位の選考評価基準に該当する結果を残しているのは下記の選手となる。

①北條 巧(博慈会)
 2)選考方法と評価第6優先候補に記載の、
 <男子対象大会>e)の 「2019年5月:成都・チェンドゥW杯(中国)」において9位以内/6位でフィニッシュしている。


【男子総評】
現在「個人種目の順位」のみで評価した場合、男子では北條巧のみがリストにあがることになる。
北條の場合は第6優先候補「個人種目の順位」での評価、リストアップであることから、同じく第6優先候補に含まれる「リレー評価項目」での評価を含めた場合、そこにはリレーの対象大会に出場経験のあるその他多くの選手を含めることになる。しかし「個人種目の順位」でのリストアップは北條のみなので評価度は高く、また北條はスイムに強く東京OQEでも「評価項目」第1評価基準:スタンダードディスタンス(以下、「STD」)ではスイムの第1集団、又はスイムトップから20秒以内でスイムフィニッシュしていることを指標とする。」もクリアしていることから現在代表選考の最上位評価を得ているといっていいのではないだろうか。



2019世界トライアスロンシリーズ 第4戦リーズ大会 プレビュー

2019 ITU World Triathlon Leeds【PREVIEW】


今週末はWTSリーズ大会。
リーズは4年連続4回目のWTS開催。
日本時間の9日21時6分に女子がスタート。そのあと同日23時51分に男子がスタート。


【女子プレビュー】
  • 昨年の覇者はビッキー・ホランド(イギリス)。
  • 2016年はグウェン・ジョーゲンセン(アメリカ)、2017年はフローラ・ダフィ(バミューダ諸島)が優勝。女子はリーズで複数回優勝した選手はいない。
  • ケイティ・ザフィアーエス(アメリカ)の今シーズン開幕戦から続く連勝、4連勝がかかる。
  • ザフィアーエスのリーズでの最高成績は昨年の3位。とは言っても2016年、2017年は出場していない。

本命はザフィアーエスだが、注目は昨年の覇者ホランドをはじめ、ジョージア・テイラー=ブラウン。ノン・スタンフォード、ジョディー・スティンプソン、ジェシカ・リアマンスらの地元イギリス勢。おそらくザフィアーエスとリアマンスは確実にスイムを上位であがりバイクでトップグループを形成するだろうが、その他のイギリス女子がバイクトップグループに入らないと一気にザフィアーエスの4連勝は堅くなる。だがリーズはほぼウェットスーツ着用になることが予想されるので、スイムフィニッシュのギャップはそれほど大きくはならないと見る。またバイクコースは前半のイントロ部分と後半の周回路では性格がガラリと変わり追い上げしやすいコースではあるが、それは集団の人数やメンバー構成、集団意思疎通が重要になってくるので先行有利の基本は変わらない。


【男子プレビュー】
  • 昨年の覇者はリチャード・マレー(南アフリカ)。
  • 2016年、2017年はいずれも優勝が兄アリスター、2位が弟ジョナサンのブラウンリー兄弟がワンツーフィニッシュ。昨年はアリスターは欠場。ジョナサンはDNF。
  • アリスターとジョナサンのブラウンリー兄弟(イギリス)とハビエル・ゴメス・ノヤ(スペイン)。長年WTSを引っ張ってきたBIG3が2016年のリーズ大会以来となる揃い踏み。
  • リーズはブラウンリー兄弟の出身地。ちなみに最近話題のイギリスの若手アレックス・イーの出身はロンドンのブロックリー(サッカー好きはご存じ、フーリガンで有名なミルウォールFCの本拠地の近く)。
  • 男子は今シーズンここまで毎戦優勝者が変わっている。

女子と違って男子の場合、横浜大会に続き優勝争い、表彰台争いを予想するのは難しい。
優勝候補だけで5名。

ハビエル・ゴメス・ノヤ(スペイン)
マリオ・モーラ(スペイン)
アリスター・ブラウンリー(イギリス)
アレックス・イー(イギリス)
バンサン・ルイ(フランス)

さらに表彰台候補も5名で計10名。これ以上絞るのは難しい。

フェルナンド・アラルサ(スペイン)
ドリアン・コナン(フランス)
グスタフ・イデン(ノルウェー)
クリスティアン・ブルンメンフェルト(ノルウェー)
ヘンリ・スクーマン(南アフリカ)

アリスターの弟のジョナサンも本来ならば優勝候補だが、今回も出場こそするものの今シーズンここまで精彩を欠き、WTS横浜もエントリーはしていたが結局直前になってキャンセルするなどコンディションは良くないと言われている。地元は兄弟1-2を期待するだろうがそれは無いだろう。
また昨年の覇者であるマレーもケガ明けなのでコンディションが戻っているとは思えない。
アリスターは今シーズン初のWTS出場だが5月18日にワールドカップ、5月31日にヨーロッパ選手権に出場、どちらも優勝しておりコンディションに問題は無いようだ。だが出場選手のレベルはそれほど高くはないので本命と呼ぶには弱いかもしれない。だがスイムで確実に上位であがってくる安定感、そして過去の実績からして優勝候補の一人とする。

展開予想としてアリスター、ルイ、スクーマンの3人は確実にスイム上位で上がりバイクでトップグループを形成するだろう。
リーズのバイクコース後半の市街地周回路は狭く、微妙なアップダウンもあって大集団になった場合動きが鈍くなる。それを想定したコース前半の動きが重要になってくる。アリスター、ルイ、スクーマンの3人はできるだけランが強いモーラやイーから逃げたいのもあるし、できるだけ少人数で周回路に入っていきたいため集団構成をふるいにかけるという事で前半から飛ばしてくると思われる。
そこに入れるか微妙なのがゴメスとコナンの2人。
もし2人がバイクトップグループに入り損ねた場合、ブルンメンフェルト、イデンらと共に第2グループを形成しトップグループを追いかけることになるだろう。モーラ、イーはスイムを苦手としているが、今回のリーズはウェットスーツ着用が予想される事からそれほど大きく遅れる事は無いと思われる。上手くいけば第2グループに入り、そこから追い上げを狙う事になる。だがその第2集団が大集団となってしまうと先述の逃げる少人数グループにとっては有利となってしまう。



2019世界トライアスロンシリーズ 第3戦横浜大会 レビュー

2019 ITU World Triathlon Yokohama【REVIEW】

【女子レビュー】
Results: 2019 ITU World Triathlon Yokohama | Elite Women

ケイティー・ザフィアーエス(アメリカ)の優勝。これで今シーズンの開幕戦アブダビ大会から続く連勝を3と伸ばした。WTS通算4勝目。

スイムから有利な展開に持ち込めたザフィアーエスのパーフェクトと言えるレースだった。ザフィアーエスにとって優勝への一番の障壁はノン・スタンフォード(イギリス)、ジョージア・テイラー=ブラウン(イギリス)のイギリス人2人だった。しかしバイクでトップグループに入ったザフィアーエスに対し、その2人はトップグループへ入り損ね、第2グループへと属する事となる。

一昨年まで横浜のバイクコースはトップグループがキャッチされやすく大集団になりやすいコースだった。しかし2017年シーズンから赤レンガ倉庫周辺のコースレイアウトが複雑になったことによりその傾向は見られなくなったと言っていい。それだけにスタンフォードは本来スイムを苦手としているものの、今回はスイムトップから17秒差の10位とまだ悪くない位置にはいたのだが、僅かの差でトップグループを逃したのは大きかった。

そしてバイクトップグループの7名という人数、そしてメンバーのバイクスキルも第2グループに比べると良く、1周10~1
5秒程のペースで差は開いていき、周を重ねるごとにラン追い上げ型の選手には厳しい展開となっていった。

この時点でバイクトップグループのランの実力を見ればおのずとフィニッシュ順は見えてくる。このメンバーの中ではザフィアーエスのランが突出しており、その次がラパポート、その後はほぼ横並びと言った感じだった。それだけに高橋侑子の表彰台もありえた。しかし彼女はレース前の取材で伺うとシーズン開幕時にコンディションを落としており、現在は6~7割までは回復しているもののまだ本調子ではないとの事だった。


【男子レビュー】
Results: 2019 ITU World Triathlon Yokohama | Elite Men

バンサン・ルイ(フランス)が優勝。ルイはポイントリーダーでレースを迎えたものの、今シーズン
コンスタントに好成績を収めてはいるが、実はまだ優勝どころか表彰台も無くシーズン初勝利となった。WTS通算4勝目。

女子と違い、男子はレース前から最後の50m
まで誰が優勝するか、表彰台のメンバーはどうなるかまったく予想がつかなかった。優勝争いとなるとハビエル・ゴメス・ノヤ(スペイン)、マリオ・モーラ(スペイン)、そしてルイの3人に絞られてくるが、そこに表彰台争いも加えるとヘンリ・スクーマン(南アフリカ)、クリスティアン・ブルンメンフェルト(ノルウェー)、アレックス・イー(イギリス)、フェルナンド・アラルサ(スペイン)も加わり展開も想像つかなくなる。

だがまずスイムにおいて横浜3連覇中だったモーラが優勝そして表彰台候補から消える。それはスタート直前からある程度予測していた。昨年モーラは苦手とするスイムでトップから10秒差と彼にしては絶好の位置でスイムを終え、バイクでトップ集団に入り有利な展開でランに入り優勝したのだが、昨年はスイムにおいて水温が低くウェットスーツ着用だった。ウェットスーツ着用となるとスイムの泳力差は小さくなり、スイムを苦手とする選手に有利とされている。だからモーラは昨年好位置でスイムを終えることができたと言える。その前の2017年はウェットスーツ着用不可だったものの終始雨が降っており、全体のバイクペースは上がらず、モーラはスイムで遅れたもののなんとかキャッチアップに成功した。2016年はウェットスーツ不可だったがバイクコースが現在のレイアウトとは違い、キャッチアップしやすいコースレイアウトだった。だが今回はモーラに不利な条件ばかりがそろったレースだったと言える。

逆に有利だったのがトップグループに入った面々、ゴメス、ルイ、スクーマンを含めた12名。2016年までのバイクコースなら第2グループにキャッチアップされていた可能性は高い。しかしランを得意としている選手は第2グループ以下に入り、また今回はバイクスキルも高いメンバーがトップグループには揃っていた。バイクで築いたギャップがあったからこそ今回優勝したルイを含め、2位のスクーマン、そしてWTS初表彰台を得たハンガリーのビチャークはその結果を得られたと言える。

実際ランのみのスプリットタイムでは優勝したルイは3番目。バイク第2グループにいたイギリスのアレックス・イーがトップ、スペインのフェルナンド・アラルサが2番目だった。今回10回目の開催となった横浜大会だが、男子において表彰台のメンバーとランスプリットタイム上位3名が内2名も違うのは初の事態だ。1名違うのでさえ過去に2回。つまり10回のうち7回は表彰台メンバー=ランスプリット上位3名という結果だった事から今回のこの結果は横浜らしくない結果だったと言える。しかし今後このバイクコースで開催される限り、この天候、ウェットスーツ着用不可ならばこういう展開になる可能性が高い。

そしてイーの強さは本物だというのが今回のレースで判明した。初のWTS表彰台を獲た今シーズンの開幕戦アブダビではスプリントディスタンスだったのもあるしレース展開も違った。しかし今回は結果表彰台を逃してはいるものの、スタンダードディスタンスでも走れるのを証明し、与えたインパクトは優勝のルイよりも強い。いままで現役最強の走力を持つのはモーラだと言われてきた。しかしイーもそれに並ぶと言っても過言ではないと言える。今後どの選手もモーラだけではなく、イーもマークする対象としてレースを組み立てていく事だろう。


【日本人選手寸評】
女子のレビューでも少し触れたが高橋侑子がWTS自身最高位となる4位を獲得。コンディションがもっと良ければ表彰台もあり得たと思うが、高橋に有利な展開だった事は否めない。ザフィアーエス以外のランが強い選手はバイクで第2グループ以下に落ち、逆にトップグループにはラパポート、スパイビーと同じコーチの下で練習するチームメイトがおり気持ち的には楽にレースを進める事ができた。そして母国開催、大勢の応援も駆けつけてこれ以上ない好条件だったと言える。だが他の選手と違いスイムで好位置に上がりバイクでトップ集団に入れた事は大きく評価できる。その他の日本人女子については本来の実力、過去の成績からすると評価できない。

男子では北條巧とニナー・ケンジが
WTS初出場。北條はフライングを犯し、バイクの前に15秒ペナルティを消化したためトップ集団に入る事ができなかったが、フライングといってもコンマ秒数、それを差し引いてもスイムトップから5秒差の7位で上がったのは評価できる。しかしその後のバイクは終始集団の後方でついて行くのがやっと、ランにおいてはスイムとは逆に下から7番目のタイムだった。
だが男子の場合、東京五輪の選考基準はほぼミックスリレーを重視したもの、男子個人は諦めていると言っていい選考基準が設定されている。ミックスリレーで一人が行う距離は今回の4分の1で競技人数も展開もまったく違う。つまり男子はWTSや五輪個人で行われるスタンダードディスタンスに対する評価より、リレーで行われるスーパースプリントディスタンスに対する評価を優先しなければならない。しかしスタンダードでスーパースプリントに対する評価ができるのは最初のスイムぐらいだ。なので北條は今回スタンダードディスタンスでは厳しい評価だが、リレーのスーパースプリントの事を考えた場合まだ評価できるのではないかと考える。
またニナーはもともと短い距離が得意な選手。逆にスタンダードでの評価は想像していたよりかは悪くはないなといった印象。スーパースプリントについては彼の特性からしてスタンダードでそれを計るのは難しい。ただ両者想像していたより悪くはなく、慎重よりも積極性があったと言うだけで男子個人の総合で比べた場合まだまだ実力不足と言える。


須賀 啓太(すが けいた)
profile

フリーランスのテレビを主とした映像ディレクター兼トライアスロンジャーナリスト。世界トライアスロンシリーズが開始された2009年から「世界トライアスロンシリーズ」や「NTTジャパンカップ」などトライアスロンのテレビ中継に関わり、海外現地取材も経験。また(社)日本トライアスロン連合ともオフィシャル映像撮影等で直に関わりを持つほか、トライアスロン公認審判員の資格も持っております。自身もエイジグループ(一般部門)での競技経験もありますが、映像ディレクターの目線からトライアスロンをやる楽しさではなく観る楽しさ。競技人口ではなく観戦人口を増やすために活動中しています。トライアスロン以外ではMLB、NFL、海外サッカー、モータースポーツ等の映像制作にも携わっています。
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